2005年08月18日

白川 浩道
衆院選と株式市場:いずれにせよ、株価は下落



 衆院選が株式市場に与える影響について、考察してみたい。


ポイント1:与党が敗北すれば、株価は、即、下落?

 与党が敗北し、政治情勢が流動化した場合、株価は急落する可能性が高いとみられる。多くの外人投資家は、いわゆる‘抵抗勢力’をねじ伏せる形で小泉自民党が勝利し、選挙後の特別国会において郵政民営化法案が可決される、というシナリオを信じている。株式市場は、郵政民営化法案可決を完全に織り込んでいると言えるわけだ。

 従って、野党が勝利したり、また、与党が敗北しないまでも苦戦する中で、‘抵抗勢力’の勢いが盛り返すような事態となった場合、郵政法案可決のシナリオが吹き飛び、外人による大量の日本株失望売りが出る可能性が高い。


ポイント2:与党勝利でも、郵政法案採決遅延で、株価は下落?

 外人投資家の多くは、日本の政治情勢や政治システムに極めて疎い。‘抵抗勢力’の旗頭ともいえる亀井氏ですら、本人がどのような主義・主張の持ち主なのか、全く理解していない外人が多い。綿貫氏や平沼氏に至っては、名前すら聞いたこともない、というのが平均的な外人投資家である。彼らは、小泉首相と竹中大臣のみを知っている程度であり、彼らを何の疑いもなく、‘改革派の善玉’と位置づけているのである。

 その程度であるから、仮に、与党が勝利したにせよ、再び、参院で郵政民営化法案が行き詰るリスクなど、殆どみていないと言ってよいだろう。衆院選において、目玉となる‘抵抗勢力’を落選に追い込めさえすれば、参院の勢力図もがらりと変わると予想している。

 このため、衆院選では与党が勝利したものの、参院における造反組と折り合いが付かず、特別国会での郵政民営化法案の採決が見送られるような状況となれば、外人は日本株を売るだろう。「衆院選の勝利だけでは必ずしもうまくいかない」というリスクを適切に織り込んでいる外人は少ない。


ポイント3:与党大勝でも、やはり、株価は下落?

 脇の甘い外人投資家のシナリオどおり、与党が大勝し、特別国会で郵政民営化法案が可決されても、やはり、外人は日本株を売ることになるだろう。

 それは、与党大勝によって、日本の政治的な安定性の維持が確認された時点で、米国ブッシュ政権の対アジア外交(経済外交)が一気に強硬になる可能性があるからである。

 米国政権は、中国人民元と日本円の同時的な切り上げを望んでいるとみられる。なぜなら、米国は、国内に2つの問題を抱えているからだ。1つは、不動産バブル、もう1つは、自動車産業を中心とする製造業の弱体化、である。この2つの問題を解決するには、ドル安政策を採用するしかない。ドル安政策によって、製造業の利益環境を改善させるとともに、米国債市場への資金流入を抑制し、不動産バブルの自律的な調整を促すことが、米国政権の最重要施策となるだろう。

 選挙後、自公連立安泰となれば、日本政府は円高を飲まされることになるだろう。郵政民営化法案の可決や構造改革期待は、短期的には、なんらの景気刺激効果も持たない。つまり、円高によるデフレ・ショックのみが、株式市場の材料となるわけである。外人は、やはり、日本株を売るのである。

 

以 上
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