2006年05月19日

白川 浩道
3つの逆風



 株式市場における逆風は3つある。


 まず、第1は、原油価格の高止まりである。 ただし、これは、ガソリン価格の高止まりが米国の家計を圧迫するという話ではない。 米国では賃金も上がってきており、ガソリン価格の上昇は家計所得の増加で吸収できる。 懸念されるシナリオは、燃料価格上昇によるインフレ率加速が警戒される中で、米国の利上げが継続し、住宅投資が急減速してしまう、というものである。 原油価格が今後さらに上昇するようなことがあれば、米国住宅バブル崩壊懸念が強まり、株価に下押しの圧力を加えるであろう。

 第2の逆風は、日本の金融監督行政の強化である。 政府は、昨年以降、「金融立国」をテーマに、金融取引の透明性確保・信頼性維持を強力に推し進めている。 こうした健全化政策は、株式市場の長期的な発展にとって必要不可欠であることは言うまでもなかろう。 ただ、やや短期的にみれば、株価の頭を抑える可能性が高い。 特に、監査法人に対する監督強化は、一時的に企業会計不信を招く可能性がある。 なぜなら、監督強化をしなければならない事情がある、との不安感が外人投資家などの間で芽生えてしまうからである。

 第3の逆風は、日本の政治に対する不透明感の増大である。 年初から春先まで、外人投資家のコンセンサスは「小泉政権の後は安倍政権」であった。 しかし、足元では、メディア報道などで、福田氏猛追を告げられ、誤算が生じるとともに、日本の政治の先行きに対する不透明感が高まってしまっている。 外人投資家が、福田首相と安倍首相の政策運営の違いについて高い理解を持っているわけではなく、現状の反応はかなり感覚的なものである。 しかし、根っこのところでの彼らの懸念は「福田政権誕生による政治改革の後退」であるらしい。

 さて、これら3つの逆風が消え、株式市場が再び日本経済の再生に注目しながら、上昇基調に入っていくのはいつであろうか。 筆者の理解では、そのタイミングは早くて8月中旬である。 その最大の理由は、次期首相がみえてくるのは、早くてもその時期であるからだ。 政治面での不透明性がお盆前に消える可能性は低い。

 ただ、8月中旬まで待っても、株価の上昇基調は戻ってこないかもしれない。 中東情勢が改善する可能性が低い上、米国が再びハリケーンの季節に入れば、原油価格の下落など望めないからである。

 株式投資家が、今後、目を凝らして、その動向をうかがっていかなくてはならないものは、ハリケーン、金融庁、安倍氏なのである。

 

以 上
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