2000年10月13日

白川 浩道
日銀9月短観は景気の緩やかな後退を示唆



 10月3日、日銀は9月に実施した企業短期経済観測調査の結果を公表した。市場では、製造業大企業の業況判断が予想以上の改善を示したことなどを背景に、景気の回復を裏付ける内容との評価が多かった。しかし、個人的には、日銀9月短観は、日本経済が今後緩やかに減速するリスクを確認する内容となったとみている。この点を、生産と製造業大企業・業況判断の関係、および在庫循環の観点から確認しておこう。

  1. 製造業大企業の業況判断DIは6月+4、9月+10と改善した後、12月見通しは+11とほぼ横這いが予想されている。過去のデータをみる限り、鉱工業生産と大企業製造業の業況判断DIは高い相関を示していることから、12月の業況判断DIがほぼ横這いと予想されていることは、12月期に生産活動が横這いになることが見込まれていることを示している。生産活動は9月期にピークを迎えた可能性があるということである。
  2. 前回の生産回復期(94年Q2〜97年Q3)はどうであったろうか。その成熟局面(96年Q4〜97年Q2)をみると、製造業大企業の業況判断DIは、今年の6月から12月にかけての動きと極めて似た動きをしていることがわかる(96年12月+4、97年3月+12、6月+13)。すなわち、00年9月期は97年3月期(Q1)に相当するイメージである。
  3. 前回の回復期では、生産活動は、ピークを迎えた97年Q1からQ3にかけて3四半期の間横這いとなった後、4Qにスローダウンを始めた。仮に、短観が示すように00年Q3が生産活動のピークであるとすると、01年Q1にかけて3四半期ほど横這いとなった後、01年Q2から生産活動が目立ってスローダウンする可能性があると言える。
 01年Q2からの生産鈍化の可能性は、在庫循環論によってもサポートされる可能性がある。鉱工業全体の在庫循環をみると、前回の生産回復局面で在庫調整が終了したのは97年Q2である。97年当時は、このQ2以降、急速に出荷が減少、Q3には意図せざる在庫積み増し局面入りし、Q4には生産がスローダウンした。

 これには消費税引き上げの影響(需要先食いとその反動)があることは見逃せないが、在庫循環が基本的には資本財や生産財の循環によってもたらされている面が大きいとすれば、当時の在庫循環をそれほど特異なものと考えなくて良かろう。在庫循環でみた場合には、足元の00年Q3が97年Q2に近いイメージがあり、ごく単純に考えれば、01年Q1からの生産調整のリスクを示唆していると言えよう。

 ただ、今回の循環には、消費税引き上げのようなショックがないことからすれば、在庫循環の動きは97年に比べやや緩やかなものになるとみておく必要がある。いずれにせよ、01年Q2から生産は調整局面に入る可能性が高い。日本経済は、大崩れはないにせよ、徐々に調整局面入りすることを念頭においておく必要がある。

以 上  
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