2007年01月09日

白川 浩道
2007年の株式市場に楽観は禁物



2007年の株式市場はどうなるのか。

 現状では、財界や市場関係者の多くが、景気、株価に楽観的な見通しを立てている。実質成長率でプラス2%は十分に達成され、株価については日経平均の高値で19,000〜20,000円というのがコンセンサスとなっている。

 しかし、こうした楽観論には落とし穴があり、要注意である。株価に過度に弱気になる必要はないが、「1年を締めてみたら、結局、2006年と同様、株価は横這いであった」という可能性が十分にある。

 以下では、今年1年間を見通した場合の株価にとってのプラス材料とマイナス材料を指摘しておこう。それらをみれば、今年の株価が一本調子で上昇すると読むのはやや甘い、ということに気づくはずである。



まず、プラス材料から始めよう。

 第1には、米国個人消費の拡大である。米国経済は消費経済であり、消費の動きが最も重要であるが、その消費は堅調な伸びを維持する可能性が高い。米国の長期金利水準は歴史的に低く、個人にとっての借り入れ金利も殆ど上昇していないから、住宅市場が崩壊する可能性はかなり限定的である。このため、住宅価格の下落やそれに伴う逆資産効果を懸念する必要はない。

 第2には、日本の設備投資の持続的な成長である。ここ数年間で日本企業のガバナンスは大きく変化しており、会社は株主のためにあるという考え方が定着しつつある。こうした中で日本企業は、国際競争力や生産性の向上による利益率の引き上げを目指し、積極的な投資姿勢を維持する公算にある。政府による減価償却税制の変更も追い風であり、R&D投資やIT投資の拡大が期待できる。

 第3には、日本株の出遅れである。日本株は、昨年、先進国の中で最もパフォーマンスの悪い株となったが、その背景の1つとして、商品市況の上昇が継続する中で国際マネーの一部がいわゆるBRICsと呼ばれる新興市場国に流れたことを指摘できる。今年は中国の金融引き締めなどから商品市況が調整する可能性が高く、その結果、出遅れ感のある日本株に見直し買いが入る可能性がある。



次に、マイナス材料である。

 第1には、デフレ脱却の遅れである。国内景気の回復は今年春で丸5年となり、6年目に突入する。にもかかわらず、物価上昇率が明確なプラスに転じる可能性は高くない。最大の理由は賃金の伸びが期待できないからである。団塊世代の一部は60歳に到達するが、彼らの多くはパートの形で再雇用される可能性が高い。マクロ的にみて平均賃金はむしろ下がる可能性が高く、個人消費の拡大やデフレ脱却は望めない。

 第2には、経済構造改革期待の後退である。安倍政権下では、小泉政権時代の反動から再び地方景気対策が重視される傾向にあるが、その結果、経済構造改革のペースが鈍化するとみられる。具体的には、郵貯・公的金融改革の形骸化によって地域金融の現状維持が図られたり、歳出規模を確保するための消費税増税論が加速する可能性があり、外人投資家がこれを嫌気するとみられる。

 第3には、いわゆる地政学的なリスクの高まりである。安倍首相が念頭の記者会見で明確にしたように、夏の参院選におけるテーマの1つに憲法改正が浮上する可能性が高い。憲法改正の目玉は第9条の改正であるが、これが中国と韓国の反発を招き、ひいては日系中国進出企業などで労使関係が悪化するリスクがある。こうしたリスクが現実のものとなるかどうかはともかく、リスクの存在そのものが株式市場の重石になる点には注意が要る。

 

以 上
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