2007年09月28日

白川 浩道
政権交代で一時的に株価上昇へ


 安倍首相が唐突に退陣し、福田政権が誕生した。安倍政権は2006年9月下旬からのちょうど1年間で退陣した短命政権であったが、政権発足時と退陣時の2時点の株価を比較すると、ほぼ完璧なまでの横這い(+0.5%)であった。単純に言えば、日本単独でみた場合、安倍政権は株式市場に中立であったわけだ。

 しかし、他国の株価は過去1年間に上昇したわけであるから(米国ニューヨーク・ダウ+19%、ドイツDAX+32%、BRICs平均+65%、9月26日現在)、相対比較では日本株が大きく割り負けたことになる。その意味で、海外の投資ファンドにおける日本株の運用担当者は、過去1年、かなり肩身の狭い思いをしたはずである。あるいは、人によっては、不幸にもリストラの対象となってしまった可能性もあろう。

 事実、日本株の弱さを嫌気した一部のヘッジ・ファンドでは、日本株のオペレーションを手仕舞い、中国やインドなど他のアジア諸国にリソースを振り向ける動きも見られ始めている。そうした動きは、与党が参院選で惨敗し、政情が急激に不安定化した7月終わりから加速している。

 新たに発足した福田政権は日本株の相対的な弱さを修正することができるのであろうか。メディアからは派閥内閣、選挙管理内閣などと揶揄され、アナリストの多くからも「古い自民党への回帰が財政健全化を遅らせる」などと警戒の声が挙がっている。そうした状況を踏まえれば、まだまだ日本株の弱さが続くと考えるのが一見、妥当であるようにみえる。そして、悲観論者の筆者としては益々弱気化しなくてはならないようにも感じる。

 しかし、どうやら、答えはその反対のようだ。長続きする保証はないが、短期的には、日本株投資に強気化しても良さそうである。

 その理由は大きく分けて2つある。

  1. 国内政治情勢が最悪期を脱したとみられ、それを好感した外人の買いが戻ってくると予想される。なぜ、政情が安定化するのかといえば、政治と金の問題や年金問題に関するスキャンダルがほぼ出尽くしたとみられる上、民主党が当面は解散・総選挙を叫びにくい状況になったためである。解散・総選挙に対する民主党の動きが鈍るとみられるのは、自衛隊のインド洋での給油活動に対する世論の支持が高まりつつある一方、与党が民主党のお株である地方重視の政策スタンスを打ち出したことを受け、民主党の存在感が急速に後退しているからである。民主党にとっての現下の状況は、安倍政権の末期のように、「総選挙に打って出れば政権を取れる」というような甘いものではない。

  2. 対米関係が改善するとみられ、米国からご祝儀的な買いが入るとみられる。米国政府は既に国連などを通じてインド洋における自衛隊の給油活動を賞賛しているが、自民党はそうした米国の動きを支持するとともに、露骨にならない程度に親米路線を復活させる構えにある。このため、ブッシュ政権や共和党と関係のある投資ファンド等が割安状態に放置されている日本株に投資することになるだろう。その際、福田政権は、なんらの投資テーマを株式市場に提供することを迫られるが、そこでの可能性が高いのは、福田首相が自民党の住宅土地調査会長として取りまとめた“200年住宅構想”であろう。これは20〜30年という現在の住宅耐用年数を、安全、ゆとり、環境、住宅価値向上などの観点から200年程度に引き上げよう、というものである。耐用年数200年の住宅がすぐに商業化されるわけではないが、同構想の推進を打ち出せば、株式市場では住宅建設・立替えブームが連想され、海外から投資資金を呼び込むことに成功する可能性があろう。

 要するに、福田政権は、政治、外交、経済の全ての側面において、少なくとも半年程度は海外投資家の期待に応えられそうである。ただし、それはあくまで安倍政権との比較においてベターであるということに過ぎず、持続的な株価上昇がもたらされる保証がないことは断っておきたい。

 

以 上
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