2008年06月09日

白川 浩道
原油高、政治情勢と株式市場


 原油高が止まらない。ニューヨーク原油先物相場はついに1バーレル130ドルを突破し、140ドルにも迫る勢いである。

 こうした中で、世界的な株価暴落説も出始めた。実際、先週末のニューヨーク株式市場は5月の完全失業率が0.5パーセント・ポイントもの大幅上昇となったことも嫌気し、400ドル弱の大幅な下落を記録した。

 日本に関しては一般的に1バーレル=130ドルの原油価格が定着すると2008年度の企業利益が二桁減益となるリスクがあるとされている。原油高が株式市場にとって最大の懸念材料ということである。

 しかし、本当にそうであろうか。

 金融不安の解消に力点を置いた米国の積極的な金融緩和(ドル金利の低下)が世界的なドル離れと原油等商品市場への資金流入を招いたのは事実である。しかし、新興市場国の景気拡大が継続し、世界成長率が高止まりしていることもまた事実であり、原油需要の持続的な増大が原油高の大きな要因となっている点を過小評価すべきではない。

 具体的には、世界経済の実質成長率は2004年から2007年にかけて4年連続で4%を上回る(平均で4.8%成長)という未曾有の好景気を経験した後、2008年についても4%弱の成長を達成しそうな情勢にある。こうした世界経済高成長の裏側では、寄与度のベースでみて世界成長の6割程度を稼ぎ出している新興市場国のエネルギー需要の拡大があるのだ。単純に言えば、原油高は世界景気堅調の裏返しであり、そうである以上、株高は原油高と共存できるはずである。

 むしろ怖いのは、原油価格が大きく下落するケースである。原油価格が下落するということは、新興市場国の旺盛な原油需要を相殺しておつりが来るほどの景気後退が先進国で生じる可能性が高いということを意味している。原油価格が下がり始めたら、株式投資に弱気化しなくてはならない。

 また、原油価格以外の情報にも目を配る必要がある。原油価格以外に今年後半の世界の株式市場を左右する可能性が高い材料として、日米の政治情勢を挙げることができよう。筆者の現時点での理解では、日米政治情勢は株高要因となる可能性が出てきた。政治情勢からみた場合、株価悲観論は見直しが必要になるかもしれない。

 まず、米国においては、大統領選が佳境を迎える中で新たな景気対策を導入しようという気運が高まる可能性が高い。特に、共和党のマケイン候補は2001、2003年にブッシュ政権下で導入された時限的減税の恒久化に加えて、中所得層向けの減税や法人税率引き下げを主張しており、同候補が勝利する可能性が高まれば(オバマ氏が民主党候補に選ばれたことでその可能性が上昇した)、株式市場が好感しよう。

 日本については、10、11月にも実施される可能性がある衆院選の過程で、小泉元首相を中心とした与党の構造改革派が巻き返しを図ろうとする可能性がある。新たな連立体制の模索や新党の結成などの話が飛び出してこよう。現状ではまだ視界不良であるが、一時的に停滞した感が強かった構造改革に再びモメンタムがつけば、外国人投資家の日本株投資は大きく増加するだろう。特に、小池百合子総理誕生となれば、株式市場のムードは良い方向に一変する可能性を否定できない。

 

以 上
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