2000年11月22日

白川 浩道
10月の消費者コンフィデンス悪化は要注意

 先週は、7−9月期の成長率がゼロ成長の圏内に止まる可能性が出てきたことを指摘したが、先週公表のデータを受けた7−9月期成長率の予想値は、前期比−0.1%(年率−0.4%)となる。

 設備投資は5%程度(+4.8%)のプラス成長となろうが、個人消費は小幅のマイナス(−0.4%)、政府投資(−5.4%)、ネット輸出(−7.4%)ともやや大幅なマイナスとなることが見込まれる。企画庁が月例経済報告で指摘したように、家計部門の改善は遅れており、設備投資頼みの「片肺飛行」が鮮明化することになる。

 7−9月期の着地がみえつつある中で、先週は、10月入り後の消費の地合いに関してヒントを与えるデータが幾つか得られた。日本リサーチ総合研究所の生活不安度指数、企画庁の景気ウォッチャー調査、10月の東京百貨店売上高である。結果は、全てが見事なまでに予想比弱めであった。

 10月は生保破綻、株価下落と明るい材料がなく、消費マインドは幾分後退したと評価すべきではないかと考えている。しかし、残念なことに11月入り後も消費を取り巻く環境に改善は見られない。10月の企業倒産動向からも明らかなように、足元では、中・小型の不況型倒産が増加傾向を辿っているものとみられる。また、日米両国の政治情勢混迷化から株安が長期化している上、社債市場では大手小売企業の経営悪化問題が取りざたされるなど、徐々に信用リスクの増大に対する懸念も広がってきている。

 冬のボーナスも夏のボーナス並みに前年比プラスは維持しようが、加速感が得られる状況にはない。さらには、物価に新たな下落トレンド入りのリスクも出ているのである。これだけ悪い条件が揃っている状況では、消費が全体として改善することは容易ではない。株価が目立って回復し、信用不安の芽が摘まれない限り、消費者コンフィデンスは改善しないであろう。10−12月期の消費もマイナスとなるリスクがあり、その場合には、成長率は再びゼロ近傍ということになる。日銀にとっては、心の休まらない日々が当面続くことになろう。

以 上  
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