2010年04月01日

白川 浩道
警戒を怠れない株式市場


 過去1ヶ月間の世界の株式市場の展開は予想外であった。 3月の1ヶ月間、ニューヨーク・ダウは5.1%、日経平均は9.5%それぞれ上昇した。 新興市場も、バラツキはあるが、総じて堅調であった。

 前回のレポートでは、ブル・マーケット(上昇相場)は終焉したと指摘した。 「いわゆるリーマン・ショック後の危機的な状況は終息しつつあり、各国の政府・中央銀行が景気刺激策や金融緩和策を徐々に修正するとみられるため」 というのが主たる理由であった。 しかし、そうした指摘を行った直後から株価は再び上昇した。

 足元の株価上昇については、基本的に流動性相場であると考えられる。 つまり、世界景気が本格的に良くなることを先取り(本来、株価は景気に先行する)した株価の上昇ではなく、 未曾有の金融緩和(中央銀行によるジャブジャブの資金供給、いわゆる金余り)が当面は継続しそうだ、 という市場参加者の期待や思惑を反映した株価の上昇である、と考えられる。

 市場がいわゆる“金余り継続”の期待を強めたのは、足元3月に、日、米、欧の中央銀行が足並みを揃えて 「金融緩和を縮小するのはまだ早い」という姿勢を示したからである。

 日銀は追加緩和措置を決め、夏場までは流動性供給を維持することを確認した。 この結果、円高懸念が和らいだ。 米国は実質ゼロ金利政策を当面は維持する姿勢を示した。 一部には、そうした姿勢が3月にも変化し、秋までの利上げが示唆されるのではないか、との読みがあっただけに、 米国金融当局の慎重な姿勢は意外感を持って受け止められた部分がある。

 欧州の中央銀行が金融引き締めを当面語れない理由は明らかであろう。 ギリシア問題である。ギリシアの財政再建の道のりは長く、市場での国債発行が立ち行かなくなるリスクはまだ残っている。 そのような状況で金融を引き締められるわけがない。

 いずれにせよ、先月指摘したブル・マーケット終焉シナリオは、世界的な金融緩和の早期縮小を予想していたという点で間違っていた。

 問題は今後である。 ブル・マーケットは終わっておらず、当面、世界の株式市場は上昇すると考えた方が良いのであろうか。

 やはり答えはノーである。逆に、この1ヶ月間、株価が上昇を続けたことでより大きく下落してしまうリスクが高まったように感じる。 個人的には“怖い”という感覚を持っている。 その理由を整理すると、以下のようになる。参考にして頂きたい。

  1. 株価のみならず、原油価格も上昇している。 商品相場については一段の上昇は起こっていないが、高止まり傾向にある。 世界的な金余りは明らかである。 各国の中央銀行はこうした状況を好ましくないと考えるだろう。 株価や原油価格の上昇が続けば、早晩、金融引き締め方向に動かざるを得ない。 しかも、経済データが改善しなくても引き締めに動く可能性がある。

  2. 世界的な規模での金融危機は峠を超えた。 しかし、まだ全ての地域、全ての業態で金融が安定したわけではない。 欧州では不動産バブル崩壊の影響が金融機関をジワジワと蝕み始めており、中規模国でシステム不安が発生するリスクは残っている。

  3. 世界的に金融機関に対する規制・監督強化が進んでいる。 欧米では銀行に対する特別課税の議論が盛んである。 また、米国では、大手金融機関を解体すべく、証券部門業務に対する厳しい規制をかけようとしている。 米国の金融機関の活動が制約されることが決まり、それと同時に金融緩和が是正されれば、流動性相場には終始符が打たれる可能性がある。 要注意である。

 

以 上
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