2010年07月12日

白川 浩道
日本株は上昇へ


 参院選が終わった。民主党の獲得議席数は44に止まった。48、49議席は行けるかと思っていた。大敗である。しかし、これで日本の株価は、あくまで一時的であろうが、上昇するであろう。

 まず、米国政府は与党大敗を歓迎するだろう。鳩山政権からの積み残し課題(米軍普天間基地移設問題、郵政民営化見直し法案)がともに米国の思惑に沿った形で決着する可能性が高まったからである。前者については鳩山政権時の日米合意の確実な履行、後者については審議やり直し・リセットになるものとみられる。米国政府は、民主・社民・国民新という民主党政権発足時の連立形態に否定的であったと推察され、それが今回の参院選を経て実質的に解消されたことを前向きに受け止めるものとみられる。米国と日本の関係が改善することは日本株にプラスとなるはずだ。

 第2に、政府は行財政改革・規制緩和により真剣に取り組まざるを得なくなった。消費税増税論は完全には潰れていないものの、早期実現の可能性は低い。参院選大敗から一定の時間を置かない限り、衆院解散に打って出るのは困難であるからだ。消費税増税に強く反対しているみんなの党が躍進したこともそれなりに影響する。「増税して社会保障費の膨張容認」といった大きな政府への移行は容易ではない。当面は行財政改革=政府のリストラでしのぐしかなく、また、財政拡張による景気刺激ができないのであるから、規制緩和を進めざるを得ない。株式市場は改革・規制緩和という言葉が大好きであり、株価上昇の材料が提供されたと考えるべきである。

 第3に、金融緩和の拡大と円高修正の可能性が上がった。民主党の大敗によって自民党、みんなの党のマクロ経済政策に対する影響力が増すのは必至であるが、両党ともに金融緩和によるデフレ脱却に前向きであるからだ。「もっと金融緩和を拡大し、円安誘導すべきだ」という野党の声は日増しに強まるだろう。そして、明確な経済成長戦略を持たない政府は知らず知らずのうちに円安待望論に与していくことになる。重要な点は、関係改善を評価する米国政府が日本政府の円安誘導を側面支援してくれる可能性があることだ。韓国や中国が日本の円安誘導を批判した場合、米国は日本を擁護するということだ。

 普天間基地移設問題の進展、郵政民営化見直しのリセット、それらによる米国との関係改善、株式市場が好きな行財政改革・規制緩和への一段の傾斜、金融緩和の拡大と円安誘導。マインドを改善させるこれだけの好材料が揃っても日本株が全く上がらなかったら、それこそ深刻な事態と言えるだろう。

 

以 上
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