2011年01月05日

白川 浩道
景気、政治、消費税:2014年にかけてのシナリオ


 国内景気は2011年から2013年にかけての少なくとも“3年間”は回復基調(あるいは拡大基調と述べた方が適切かもしれない)を維持するだろう。

 第1に、世界景気の回復が継続する見通しであり、お決まりのパターンではあるが、外需関連企業の業績が上向く。 世界景気を牽引するのはアジアの新興国だけではない。向こう1、2年に限っていえば、米国経済が世界景気の牽引役として復活する。

 第2に、世界(特にアジア)のホットマネーが日本の不動産・土地を目がけて流入してくる。 日本の不動産や土地には全体として割安感があるためだ。 地方の中核都市でも優良物件の値段が上がるだろう。

 第3に、いわゆる団塊世代の引退(65歳定年の場合、引退は2012年に本格化する)を受けて徐々に人手不足が深刻化する。 循環的な景気回復も人手不足に拍車をかける可能性が高い。 この結果、海外労働者の流入が本格的に増え、一時的に人口減が止まるとみられる。

 第4に、2014年春の消費税増税を見越した住宅・耐久財の購入が2012年後半から2013年にかけて盛り上がることになる。

 第5に、2014年春の消費税増税を受けて景気は再び失速する。 増税によって年金制度に対する安心感が高まる可能性もあるが、消費税増税による物価上昇が買い控えを引き起こすためだ。

 “消費税増税が実施されるのは2014年度”と考える理由について若干説明を付け加えておこう。

 重要な点は、衆院選で民意を問わない限り消費税増税は不可能である、という点である。 民主党が2009年夏の衆院選で作成したマニフェストについては、子ども手当ての完全支給を断念するなど既に修正が加えられている。

 しかし、“2013年度までは消費税増税を行わない”という公約を衆院選を経ずして不透明な形で反故(ホゴ)にするわけにはさすがにいかないだろう。 官邸からは“今年中に超党派で消費税増税に関する合意を得る”という勇ましい声も聞こえるが、消費税増税に対する低所得層からの強い反発が想定される以上、野党は自殺行為とも言える増税路線に簡単には乗れない。 野党にはしごを外されるリスクがある消費税増税を支持率の低い与党が強引に決められるわけはない。

 結局、消費税増税が実質的な進展をみることができるようになるまでにはそれなりに時間がかかる。 選挙を経ない離合集散を繰り返す中で、政権支持率60%をコンスタントに獲得できるような、まさにカリスマ的なニューリーダーが登場する必要があるからだ。

 楽観的なシナリオは、そうしたニューリーダーが任期満了に伴う2013年夏の衆参ダブル選挙前に登場する、というものだ。 そうなれば、2013年夏の衆参ダブル選挙で消費税大幅増税の民意を問うことができ、うまくすれば2014年度に消費税増税が実現するというわけである。

 私の個人的な読みでは、2013年夏の衆参ダブル選挙前にカリスマ的ニューリーダーが登場する可能性はそれなりにある。 民主・自民両党がともに国民からの支持という点で決め手を欠く状況はそう長くは続かないとみられ、最終的には大連立が模索されると予想せざるを得ないが、その際にリーダーとなるのは、過去のしがらみが少ないニューフェイスとなるだろう。

 なお、2014年春の消費税増税を受けて景気が失速すると指摘したが、そうならずに景気回復が持続するシナリオもある。 2013年までに登場するニューリーダーが若年層と新興企業の利益を最優先する人物となれば、様々な経済・産業構造改革が進展し、日本経済の景色が変わるかもしれないからだ。

 ただ、現時点でそこまで予測するのはやめておく。 当面は、2013年夏の衆参ダブル選挙までにカリスマ的なニューリーダーの登場を期待するだけに止めておいた方が無難だろう。

 

以 上
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