2001年01月10日

白川 浩道
能力増強型の設備投資は7−9月期以降減少?

 11月の鉱工業生産は、前月比−0.8%と予想外に弱めの数字となった。9月以降の需要減退の下で、出荷の伸び率低下と在庫の積み上がり傾向がより鮮明となったことに対応した「生産調整」と考えられる。こうした生産調整の結果、在庫水準は幾分低下し、在庫面からの生産調整圧力がどんどん高まる状況にはないことは確認されたが、生産活動の鈍化がはっきりしてきたことで、設備投資の持続性に対する懸念も生じてきた。

 実際、仮に12月に鉱工業生産指数が幾分リバウンドしたにせよ(当社では、前月比+1.2%を予想)、10−12月期の前期比は+0.2%程度に止まるものとみられ、この結果、生産のピークは10−12月期となることがほぼ確定したと言って良い。こうした状況で、99年4−6月期以降、00年7−9月期まで上昇を続けてきた製造工業の稼動率は00年10−12月期には7四半期ぶりに低下することが見込まれる。10−12月期の稼動率指数は季節調整済みのベースで99程度になるものとみられ、7−9月期の100.1から1ポイント程度の下落となる。

 稼動率の水準は製造業の生産設備過剰・不足感との間で高い相関をもっており、また生産設備の過剰・不足感は能力増強型の設備投資との間で安定した相関を持つ。前回の稼働率回復局面は、95年10−12月期に始まり、97年4−6月期までの7四半期継続したが、こうした動きの下で製造業における設備投資の回復局面は98年1−3月期まで継続した。このように、製造業の設備投資は稼働率がピークアウトしてからも3四半期くらいは継続する傾向があるが、これは、稼動率上昇下での設備不足感に基づいた機械投資の意志決定と設備投資の実行の間に3四半期程度のラグが存在することを示している。そうであるとすれば、今回の回復局面については、循環的な設備投資が01年7−9月期まで緩やかに拡大した後、10−12月期からは減少するとのシナリオが描けることになる。

 IT関連投資といった能力増強型ではない投資の動向が製造業全体の設備投資動向を左右するが、これまでのところ、日本企業におけるIT投資は、「労働代替目的に基づいた独立的な投資」の性格を十分持ち合わせているとは言えず、生産活動の後退の下で他の循環的な投資とともに減速する可能性が高い。ここまで景気を牽引してきた製造業の設備投資は夏場以降息切れするものとみられ、非製造業の設備投資へのバトンタッチが行われなければ、設備投資は全体でも秋には失速しよう。当社では、00年度、01年度の設備投資について、それぞれ6.5%、3.0%の伸びを予想している

以 上  
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