2001年01月29日

白川 浩道
焦点:電気機械業の生産調整圧力は大きい?
 99年以降の生産活動回復をもたらしてきた輸出の減速が一段と鮮明になった。先週公表された00年12月の通関統計によれば、輸出数量は前年比+1.4%(00年平均+9.4%)まで減速し、相手国別にはアジア向け、商品別には電気機器(映像・音響機器、通信機、半導体等電子部品)の減速感が強まった。電気機器の輸出数量前年比は00年2月につけたピーク(+28.7%)から直近の00年12月には+4%弱まで減速したとみられる。もっとも、ここまで大きく輸出需要が減退しているのに、電気機械工業の生産指数前年比は+10%超の水準を維持している。今日公表された12月の生産統計によれば、電気機械生産の前月比は+0.5%、前年比は+13.4%であった。このように、今回の輸出減退局面は、これまでのところ97年秋から始まった前回の生産調整局面とはやや異なっている。


 電気機械の生産水準が維持されているのは、国内におけるIT関連需要が今のところ相対的に堅調であることが背景にあることは明らかである。しかし、先行きIT関連需要、特に企業のIT投資が拡大を続ける可能性は小さい。ここで重要な点は、日本の場合、IT投資の独立性が低いということである。IT投資を合理化・効率化、あるいはコスト削減を目的とした投資と位置づける企業も当然存在してはいるが、中小・中堅企業を含めた多くの企業はIT投資を、単なる「ビジネス・インフラの整備」と捉えている可能性が高い。世界経済の減速、株価の長期低迷によって、所得環境やバランスシートの質が悪化すれば、IT投資のモメンタムも切れてくる公算が大きい。その意味では、電気機械の生産がIT関連設備投資によって支えられるといった状態はいずれ修正を迫られることになろう。

 電気機械の先行きの生産に関するもう1つのリスクは、言うまでもないことであるが、在庫の積み上がりである。12月は在庫の前月比が+2.2%となり、前年比も+11.2%と二桁増の領域に入った。足元の在庫水準(季調済み指数111.3)は、97年秋時点のピークに迫る高いレベルにあるのである。また、製品別には、在庫の積み上がりが、通信機械、通信・電子部品に集中しており(ともに前年比50%以上)、ネット関連における需要減退が大きくなれば、大幅な生産調整圧力が生じるリスクが極めて高い。

 電気機械工業は鉱工業生産の19%程度を占める産業であり、同業種が、今回の生産回復局面で全体の生産を牽引した力は大きい(00年12月についてみると、鉱工業生産前年比+3.5%に対する電気機械の寄与度は+2.5%程度ある)。電気機械の生産活動の大幅な鈍化が生じれば、鉱工業生産全体の水準が大きく低下するとともに、製造業の設備投資もかなりの調整を免れないとみておくことが妥当である。

以 上  
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