2001年02月20日

白川 浩道
焦点:非製造業のIT投資は息切れ?
 当社では、設備投資について、(1)外需の大幅な減退による生産調整の下で設備過剰感が再び高まるため、製造業の能力増強目的の設備投資が年央以降目立って減速する、(2)ITユーザー投資については、相対的に労働代替性が高く、バランスシート調整圧力の小さい製造業では堅調に推移するが、(3)非製造業では、ネット関連需要の後退、株価の低迷を背景に、通信業や金融業以外に広がりがみられないまま、モメンタムを失う、との見方をしてきた。

 先々週公表された機械受注統計は、IT関連投資に対する我々の見方をサポートする内容となったものの、非IT関連投資については、我々のシナリオと幾分異なるデータが示された。それは、製造業の能力増強型機械投資に絡む発注は依然高水準にあり、能力増強型投資の明確なスローダウンが生じるのは秋口以降にまでずれ込む可能性が出てきたこと、その一方で、非製造業の非IT関連投資は当初予想に比べてかなり低調であること、である。なお、製造業の設備投資意欲が見通しに比べて幾分強いとみられる一方、非製造業ではその逆であり、全体としてみれば、GDPベースの設備投資見通し(2001年度見通し1%程度)を変更する必要はないと考えている。

 まず、IT関連投資として捉えられる電子・通信機械発注の伸びについては、製造業は、7−9月期前年比+22.9%、10−12月期+21.1%、1−3月期+15.4%となっており、1−3月にかけて幾分減速はするが、依然として高めの伸びを維持している。さらに1−3月期の減速は、電気機械業の半導体製造装置関連の減速が最も大きな要因となっている可能性が高く、純粋なITユーザー投資に絡む機械受注は、7−9月期の+10.2%、10−12月期+13.8%となった後、1−3月期もほぼ同様のぺースが維持されているものとみられる。製造業のITユーザー投資は2001年も相対的に堅調な伸びが見込まれるとの見方は変更する必要はない。


 他方、非製造業については、当社の見込み通り、減速感がより鮮明になってきた。非製造業の電子・通信機械発注は、7−9月期に前年比34.8%の高い伸びを示した後、10−12月期は23.1%に減速、さらに、1−3月期は10.3%まで伸び率が低下する見通しとなっている。業種別には、通信業の発注が大きく減速したことに加え、卸・小売、情報サービスからの発注がモメンタムを失っていることが背景である。大型合併を主因に伸びを徐々に高めている金融業以外では、ITインフラ投資が明らかに減退傾向にあると言える。

 次に電子・通信機械以外の発注であるが、製造業は、7−9月期前年比+22.1%、10−12月期+29.8%となった後、1−3月期見通しも前年比+23.5%となっており、目立った減速感はみられない。産業機械、工作機械に対する発注が依然高水準であるためである。今後見込まれる生産活動の減速や設備稼働率の低下を踏まえれば、製造業の能力増強型投資の減速はほぼ間違いないとみられるが、現状を見る限り、更新投資とみられる設備投資意欲は落ちていないようである。世界経済の減速がより大きなものとなれば、製造業は過剰設備を積み上げてしまうリスクがあり、注意が必要である。

 非製造業の電子・通信機械以外の投資は、7−9月期に前年比+0.6%となった後、10−12月には前年比−9.4%と減速、さらに1−3月期は前年比−17.2%にマイナス幅が大きく拡大する見通しにある。これは、ほぼ失速に近い状態と言える。非製造業の非IT機械投資として大きなものは、電力業の能力増強投資と農林漁業、建設業の産業機械投資であるが、これらに関する機械受注はは10−12月期には大きく前年割れとなっており(電力は前年比−33%、農林漁業・建設業の産業機械受注は前年比−14%)、1−3月期はそうした傾向が更に強まるものとみられる。

以 上  
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