2001年03月05日

白川 浩道
日銀を取り巻く環境はさらに悪化
 日銀の金融政策決定会合は、2月28日、公定歩合とONコールレートをそれぞれ0.1%引き下げる決定を行った(ONコールレートのターゲットは0.15%に)。日銀は、株価の一段安の下で政治的な圧力に抵抗しきれなくなっているものとみられる。今回の措置は、0.25%維持に未練を残した極めて中途半端な措置であり、株価や景気に対する浮揚効果もほとんどないといえる。0.15%といったターゲット金利を設ける以上、流動性の増加も限られているからである。時間稼ぎに過ぎない措置を継続することは日銀を取り巻く環境を悪化させるだけに過ぎない。

日銀の政策に関する今後のシナリオを展望するうえで重要な点は以下のとおりである。

  1. 1月の鉱工業生産の大幅低下(前月比−3.9%)を受け、1−3月期のGDP成長率に対する下振れリスクが生じた。3月12日頃に公表される10−12月期GDP成長率がゼロ近傍となった場合、2000年度成長率は政府見通しの1.2%はおろか、1%にも届かない可能性が高い。「日銀は景気判断を誤り、ゼロ金利を解除した」といった「ゼロ金利解除失敗論」が一気に噴出しよう。今回の措置は、そうした日銀批判を煽るに十分なだけの中途半端な措置といえる。

  2. 先行きの景気については、牽引役と目されてきた設備投資の腰折れリスクが高まっている。先行指標である機械受注の1−3月期見通しが前期比6%以上の大幅なマイナスとなっているほか、日経新聞調査によれば、2001年度の計画設備投資額は全産業(1,500社)で6%もの減少となることが予想されている。外需もマイナス寄与が年前半は続く可能性があるとすれば、個人消費によほどの期待をかけない限り、2001年度の成長率が加速するストーリーを描くのは困難である。

  3. 2000年度を振り返っても、また、2001年度を展望しても、「需給ギャップは縮小していない、あるいはしない」ことになる。デフレ懸念の払拭は展望し得ないものであったし、今後も展望できない、ことになる。その意味では、10−12月期のGDP成長率が出た時点で、「ゼロ金利回帰論を正当化することが十分に可能である」と考えられる。

  4. 日銀としては、3月短観の情報を最大限活用した上で、2000年度見込み、2001年度見通しを作成し、それとのセットでゼロ金利回帰を決定したいというのが本音であるとみられる。そうした筋書きの可能性は依然相対的には高いとみられるが、確率は低下した。ゼロ金利回帰について、4月以降の可能性を55%、3月19日会合での可能性を45%とみたい。

以 上  
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