2001年06月19日

白川 浩道
5月の通関輸出に注目

国景気の短期的な落ち込みが当初予想に比べて深いものになる可能性が強まった。先週金曜日に公表された5月の鉱工業生産は前月比−0.8%と市場予想比大幅な落ち込みとなったほか、4月の値も当初の−0.3%から−0.6%に下方修正されている。これで昨年9月のピークからの生産減少は3.9%に達した。4−6月の生産の落ち込みが予想外に大きいことから、当社の米国マクロ・チームは、設備投資の下方修正を主な背景に4−6月期GDP成長率(年率)を当初予想の−0.5%から−1.0%に下方修正した。もっとも、米国マクロ・チームは、依然として、在庫調整の完了、減税の消費下支えを主因に、7−9月期以降、米国景気が緩やかに回復する見通し(7−9月期+1.8%、10−12月期+3.1%)を立てている。なお、FEDの金融政策に関しては、今月27日のFOMCで50bpsの利下げ(当初は25bps)を予想している。





このように、当社の米国経済に関する見方は、足元では当初予想以上に深い調整となるが、夏場以降は比較的短期間のうちに回復感がみられる、というものである。こうした米国経済見通しを前提に、日本経済についても、7−9月期には底打ちとなり、10−12月期からは緩やかに回復するシナリオを描いている。

しかし、4−6月期の米国経済の落ち込みが予想以上に深いものになるとの予想は、日本の4−6月期GDP成長率(現在の当社予想は前期比−0.3%、年率−1.2%)にダウンサイド・リスクがあることを意味している。現在、当社では、4−6月期について、<1>輸出数量の前年比がマイナス10%弱まで拡大(1−3月はマイナス4%強)する、<2>鉱工業生産は前期比4%弱(3.9%)の減少となり、1−3月期実績(3.7%減)とほぼ同じ速度での調整を継続(昨年12月のピークから8.6%の減少)する、<3>この結果、設備投資(実質GDPベース)は前期比3.6%(年率14%程度)と大幅減少に転じる、ことを予想している。

今週の焦点は、こうした点に絡んで、5月の通関輸出(20日水曜日公表)の前年比マイナス幅がどの程度拡大しているか、であろう。通関輸出(金額ベース)の前年比は、4月に小幅のマイナス(−1.1%)となった。当社では、5月には、これがマイナス2%程度に拡大するものとみているが、仮に前年比マイナス幅が米国向けを中心に予想以上に大きなものとなれば(マイナス4−5%が目安)、4−6月期について、予想比深い鉱工業生産、および設備投資(特に製造業)の調整を想定せざるを得なくなる。5月の通関統計は、4−6月期の景気の落ち込みの深さを占う上で、極めて重要である。そして、4−6月期のGDP前期比がマイナス0.5%(年率2.0%)に迫るような落ち込みとなれば、10年債利回りが9月までに1.0%を割る確率は70−80%くらいにまで高まることになろう。

以 上  
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