2001年08月21日

白川 浩道
8月14日の日銀追加緩和の評価
(1)
基本的には、9月末越えに対する流動性サポート、ターム物金利抑制策であり、それ以上でもそれ以下でもない。総裁会見では、金融機関の季節的な当座預金需要の高まりや、追加緩和措置の効果としてのターム物市場金利に対する下押し効果、が指摘されており、こうした当社の見方を裏付けるものとなっている。なお、9月中の超過流動性(当座預金マイナス所要準備)は平均的に当座預金残高6兆円の達成ができた場合、1.8兆円強となる。これは99年9月の1.2兆円弱を0.6兆円程度上回ることになる。上期末の流動性対策ではあるが、0.5−0.6兆円は余分に資金を供給しているイメージであり、株価に対する日銀の不安感の強まりを反映したものと言える。


(2)
また、総裁は、中長期国債買い切りオペの増額については、追加的な増額の可能性は残したものの、市場の反応如何と、長期金利上昇リスクに対する懸念を引き続き表明したほか、インフレ・ターゲットの導入に対する否定的な見解も改めて示した。今回の措置は、インフレ期待の醸成を狙った「本格的な量的緩和」ではない。


(3)
注目すべきは、総裁が「時間軸効果」の補強を示唆したこと。記者会見では、「物価は場合によっては少し上がるということがあっても構わない」とのコメントがなされた。プラス0.5%程度のCPIが既に暗黙のうちにベンチマークとなっていると考えてよかろう。本格的なリフレ策ではなく、むしろ当面の措置として、時間軸効果の補強
(ゼロ金利実施期間はすくなくとも向こう3年程度)に乗り出す方向性が示唆された。短中期ゾーンの金利には、暫くの間、一段の低下圧力が掛かるものとみる。当社のこれまでのシナリオどおりである。


(4)
さて、今後1年程度を展望した金融政策運営の基本シナリオは、以下のとおりとなる。


  • 追加的な緩和実施の条件は、基本的には、上値の重い株価(TOPIX1350ポイント程度が限界)、あるいは、政府による構造改革(不良債権オフバラ化、緊縮財政)へのコミットメント、であるとみられるが、構造改革なきままに株価対策目的で実施に追い込まれる可能性の方が高い。なお、追加的な緩和措置は、「短期的な流動性対策の域を出た、リフレ策の色彩がより濃いもの」との評価をせざるを得ないであろう。

  • 追加的な緩和実施の確率は60%程度あるものとみられる。当初みていたよりも確率は幾分上昇した。実施時期としては、年内20%程度、来年1−3月50%程度、来年4月以降30%程度。景気循環と合わせ、年末頃までには、株価堅調、債券価格軟調といった地合いが出来上がる可能性が高い。

  • 追加措置のオプションと確率は、国債買い切りオペの月額1兆円程度への増額30%、CP・社債オペの積極化40%、積極的非不胎化介入15%、日銀独自の外貨購入5%、日銀貸出の積極化10%。なお、当座預金残高ターゲットは6兆円程度で維持される可能性が高い。

  • さらに、上記の金融調節の枠組みを越えた措置として、RCCへの出資、株式買取機構への出資、銀行の優先株引き受け等のオプションも否定できない(年度末に向けた措置)。

  • 他方、インフレーション・ターゲットの導入が行われる可能性は30%以下。
以 上  
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