2001年11月29日

白川 浩道
再び関心は金融政策に?

 先週はイギリス、ドイツ、ノルウェーの投資家を30弱訪問し、日本の経済状況・政策運営について話をしてきた。その際の印象では、ほぼ9割の投資家が小泉政権の構造改革についてはもう完全に先が見えたという感じで、「特に興味なし」の状況となっている。特に銀行の不良債権問題に関しては「大々的な公的資本注入が必要となるような徹底的な査定の厳格化が見られるまでは気持ちが動かない」というのがコンセンサスのようである。Japan Passingのモードに入っており、寂しい限りである。

 そんな中で、欧州投資家の関心は、米国景気の回復といった「循環的な要素」と、「景気対策」に移っている。特に小泉政権が国債発行30兆円にこだわっていることから、目先の関心は再び金融・為替政策にあるようだ。米国の緩やかな回復が視野に入りつつある中で日米当局が積極的な円安政策に転じたら「輸出関連株を買い」とするスタンス(債券は売り)が多く見受けられた。その意味で先週のFT紙の日銀外債購入の記事は当地ではそれなりの盛り上がりが見られた。

 個人的には、日銀の直接的な外債購入による積極的な円安誘導は現実的なオプションとはみておらず(そもそも円安誘導は非不胎化介入によるはずである)、日銀、MOFは、8〜10兆円程度の当座預金残高の維持による緩やかな円安容認姿勢を当面の間は続けるものとみている。130円レベルを大きく越えるような円安政策を行うに当っての国際的なコンセンサスがまだ得られていないとみられること、円安と債券安のスパイラルが生じるリスクがあり、そうした副次的な効果に対する政府のスタンスが定まっていないことが背景である。今週木曜日の日銀決定会合は現状維持とみている。

 いずれにせよ、欧州投資家の期待は、米国経済が徐々に上向いてくるもとで日銀の超過流動性維持が緩やかな円安をもたらし、それが株価の下支えになっていくというものである。今暫らくは外人投資家の目は円相場と外需関連株、あるいは円安と債券安のリスクといったところに向くものとみられる。銀行健全化策や特殊法人改革、そして形だけの30兆円枠には鈍い反応が続きそうである。

以 上  
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