2002年02月22日

白川 浩道
今後2年はリフレ集中期間?

最近メディアでは、銀行への公的資本再注入、税制改革、日銀の追加緩和策等を取り上げられているが、そこにはやや混乱が感じられる。ここでもう一度頭を整理することが重要であろう。

経済政策運営の先行きをみる上での最大のポイントは、政府が、経済危機宣言を行うような事態が生じる可能性があるかどうか、に尽きる。経済危機宣言を行う状態とは何か。それは、大型企業倒産が連鎖的に生じ、これによって、信用不安、金融不安が生じる状態であろう。それでは、こうした信用不安、金融不安が生じるための条件は何か。それは政府と金融機関が一体となって、過剰債務企業に死刑宣告を突きつける時である。過剰債務企業にお引取り頂くことを判断した時である。政府と金融機関がそうした判断をするのは、いつか。「不良債権を向こう2〜3年以内にオフバランス化する」という方針に則れば、それは、起こったにせよ、03年9月期から04年3月期とみるのが妥当であろう。これはペイオフの完全解禁後という点でも、意味のあるタイミングである。こうした政府の方針は小泉政権が発足して以来、全く変わっていない。政府内には、02年3月期や9月期に不良債権を本格的に処理しなくてはならないと考えている者は多くないと考える。危機宣言は、そもそも政府自身が主導して、自作自演で行う性格の強いものである。政府が、ペイオフ完全解禁の影響を見極める前に、トリガーを引く可能性は極めて低い。

政府による経済政策運営の中期的なスケジュール観については、現状で次のように考えている。

  • デフレ的な不良債権最終処理(オフバラ化)のターゲットは04年3月期。逆に言えば、04年3月期以前に、大手過剰債務企業の最終処理(法的整理)が進展する可能性は低い。また、04年3月期までは、RCCの積極活用も生じない。

  • 02年度、03年度の2年間は「集中リフレ期間」と位置付ける。この2年間で、何とか株価を上昇させ、金融市場や実体経済の不良債権最終処理に対する耐久力をつける。

  • 02年度、03年度の「集中リフレ期間」については、02年度が「量的緩和のみによるリフレ」、03年度が「量的緩和と財政出動のセットによるリフレ」、をそれぞれ基本シナリオとする。本来であれば、金融と財政のセットでのリフレ策が早期に導入されることが望ましいが、財務省の財政健全化スタンスが簡単には崩れないこと、首相の国債発行30兆円枠の足かせが重いこと、財政出動の内容に関するコンセンサスがないこと、等から、財政面での景気対策は03年度に後ズレする可能性が高い。

  • 02年度は、日銀による、国債買い切りオペの暴力的な拡大と、物価(CPI)安定に対するより強いコミットメントが中心となろう。ただ、金融リフレには、日銀による直接的な株式・社債市場介入は含まれない。社債やETFの買い切りが実施される可能性は10−20%以下であり、限りなくゼロに近い。

  • 02年度の「量的緩和のみによるリフレ策」は、円の一段安を通じてデフレ圧力の緩和に寄与するものとみられる。景気循環の側面等からみて、量的緩和拡大によるリフレ策が、トリプル安をもたらす危険性は高くないとみている。もっとも、円安の需要拡大効果は限定的であり、株価の安定的な上昇にも繋がらない。結果として、03年度の「金融・財政同時出動」が必要になろう。

以 上  
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