2000年7月27日

白川 浩道
WPI(卸売物価)は再び前年比マイナスとなるか

 日本の物価情勢を評価する上では、消費財や資本財の需給状況に加えて、 流通革命や技術革新といった構造的な要因の影響度合いを見極める必要がある。しかしながら、 流通革命や技術革新の影響を数字を持って明示的に論ずることは容易ではない。結局のところ、物価の評価は感覚的なものとならざるを得ない面がある。

 こうした中で、個人的には、需給状況、流通革命、技術革新といった3つの要因を、それぞれ、 物価に影響を与える短期的な要因、中期的な要因、そして長期的な要因として捉えている。すなわち、財の需給環境は短期的に物価に反映されるが、 流通革命や技術革新の影響は中長期的にじわじわと物価に影響を与えるものと考えている。

 代表的な物価指標であるCPI、WPIについては、ともにこれら3つの要因の影響を受けるとみられるが、 このうちWPIは中期的な要因である流通革命の影響を相対的には受けにくいと考えられる。従って、やや乱暴な見方をすれば、 WPIの中短期的な動き(数ヶ月から1年程度)には、基本的に資本財、消費財の需給動向のみが反映されていることになり、その分、物価指標としての使い勝手は良い。

 こうした考え方を前提に最近数ヶ月のWPIの動きをみてみよう。ポイントとしては、(1)財別にみた場合、 ウェイトの高い投資財・素原材料の前年比プラス幅が縮小傾向にあること、(2)さらに投資財・素原材料を分解すると、輸入品のプラス寄与幅が低下していること、 を指摘できる。為替相場が安定している状況からすれば、1つの仮説として、 世界的な景気のピークアウトにより、投資財、原材料の需給環境が軟化し、これがWPIの頭打ちとなって現れていると解釈することも可能である。

 今後WPIが再び前年比で水面下に沈むか否かは、 米国やアジアの景気後退を国内の設備投資拡大によってカバーできるか否かにかかっている。日銀のゼロ金利解除が妥当な政策判断であるかを読む上でも今後のWPIの動きが注目される。

以 上  
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