2002年11月22日

白川 浩道
補正予算に景気刺激効果はない

補正予算の規模がほぼ固まった。税収の予想減収分(2兆円強)に対する補填を除いた、追加支出で4.2兆円であるという。こうした補正予算に対する評価は以下のとおりである。

  1. 4.2兆円のうち、実際に支出効果を有する「真水」は2兆円程度であるとみられる。これは都市再生等の公共事業と災害復旧関連の支出である。社会保障等義務的経費の増加(1.2兆円)や雇用・中小企業対策のセイフティネット(1.5兆円)は予算には計上されても、実際にはほとんど支出効果を持たない可能性が高いとみられる(信用保証枠で資金を借り入れた中小企業が、ゴルフ会員券や車の購入を含め、支出性向を大きく高めるようなことがない限り)。

  2. 従って、財政政策は、依然として、景気刺激効果という観点に注目すれば、「緩やかな緊縮政策」を堅持していると評価される。社会保障税の増税幅が雇用保険料引き上げの見送りによって幾分縮小するにせよ、今年度対比でみた場合、来年の財政は2兆円程度の「緊縮」になる。これは、社会保障税増税2兆円弱、03年度予算としての公共事業削減1兆円、昨年度補正(真水)との坂3兆円弱の合計である6兆円の「緊縮」を、ネット1.5兆円の政策減税と今回の2兆円程度の補正(真水)では取り返せないためである。

  3. このように、現在の財政政策運営には、景気刺激効果が殆どない、と考えてよいであろう。GDP比0.4%の真水といっても、円高や長期金利の上昇圧力(短期的にはさほど大きくないが、永続的な景気刺激効果のない公共事業の追加によって、財政破綻確率が上昇するため、その分、市場では金利上昇圧力が増大する)といった材料を加味すれば、今回の補正がGDPを最終的に押し上げる効果は高々0.2%程度ではないか、とみられる。

  4. 現在の財政運営に期待してはならない。財務当局は、将来の財政破綻に関する警戒を強めており、積極財政を展開する余裕はない。財政政策で景気刺激を行えるケースは、唯一、「無駄な歳出の削減、課税ベースの強化と大胆な政策減税の実施の組み合わせ」であろう。地方政府や特殊法人向け補助金の大幅な削減、課税最低限の引き下げや外形標準課税の導入による課税ベースの強化、と同時に、思い切った証券・土地取引優遇税制と住宅ローン減税等を組み合わせない限り、景気刺激は困難であろう。

  5. 引き続き、経済政策面での焦点は、金融緩和の追加であろう。前回のレポートでも触れたが、ベースマネーの伸び率ターゲットへの移行とマイナス金利政策(銀行への補助金政策)に注目したい。
以 上
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