2004年01月05日

塚崎 公義
今年は景気の底堅め


あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。今回は、新年にあたり、今年の景気を占ってみたいと思います。

景気が回復軌道に乗っていることは疑いないところだと思います。景気は、ひとたび回復軌道に乗れば、「生産増→雇用増→所得増→消費増→生産増」、「生産増→設備投資増→設備機械生産増」、「売上増→企業収益増→株価上昇→消費・投資増→売上増」といったスパイラルによって自律的に回復を続けていくことが期待されますから、景気を回復軌道からそらすようなショックが外から加わらない限り、回復が持続すると考えてよいと思います。

景気が回復を続ければ、デフレからも脱却できるでしょう。価格変動の大きい生鮮食品、特殊要因により価格が上昇している医療費、コメ、タバコなどを除いたベースの消費者物価をみると、前年同期比の下落率は次第に縮小してきています。これは景気の回復、賃金の下げ止まりによるものであり、今後もこうした要因は持続するでしょうから、今後も前年比のマイナスは縮小しつづけ、遠からずプラスに転じることが期待できるわけです。

こうして今年は、経済に関する明るい話題が徐々に増えていくと思われます。景気の回復スピードは緩やかなものにとどまるため、水準として「好況」と呼べるような段階には達しないでしょうが、重要な変化として、「景気が底割れしたり日本経済がメルトダウンしたりするリスクが減り、景気の底が堅くなった」という実感を人々が持つようになるでしょう。

景気回復の初期は、病み上がりの病人のように外的なショックに弱いのですが、しばらく回復を続けるとショックに対する抵抗力がついてきますから、多少の円高や輸出減といった事態にも景気が腰折れしないようになってくるでしょう。今回は、これにもまして重要なことに、「金融システムが崩壊して日本経済がメルトダウンするリスク」が大幅に縮小すると期待しています。

景気が回復してデフレが止まれば、いままで借金の返済が困難であった借り手のなかでも返済できるところが増えてくるでしょう。株価が上がれば銀行の含み益も回復して健全性が増すことも期待されます。

さらに、人々の銀行預金に対する不安が遠のいて、全国的な取り付け騒ぎが起きる可能性も減るでしょう。「いくつか銀行が潰れても、それは例外であって、他の銀行も危ないわけではないだろう」「潰れた銀行の預金者に損が及ばないような政策が採られているから、自分の預金は急いで引き出さなくても大丈夫だろう」と考える人々が増えてくるからです。

では、仮に景気が後退をはじめるとしたら、どういう場合が考えられるでしょうか?第一は政策転換です。景気が回復軌道にあるのは、小泉内閣の構造改革路線が軟化したためですから、再び「財政赤字を30兆円に減らす」「不良債権の最終処理を徹底して不振企業は清算する」といった当初方針が復活するとすれば、景気は再び悪化を始めるでしょう。しかし、高速道路の建設を巡る動きなどを見ていると、改革派が思い通りに改革を貫徹するという可能性は小さいと思います。改革派と「抵抗勢力」の綱引きによって、「改革はまがりなりにも進むが、進みすぎて景気が腰折れすることもない」という非常に望ましい姿が続く可能性が高いのではないでしょうか。

海外の景気が急に後退して日本の輸出が激減するといった可能性も、大きくないでしょう。米国の景気は(人々が考えているほど好調かどうかは別として)年内に腰折れするとは思われませんし、中国についても基本的には好調が持続すると思われます。中国については一部地域の不動産バブルの崩壊を心配する声はありますが、バブルが初期段階にあることを考えると、ここでバブルが崩壊しても景気を急速に悪化させるほどの影響はないと思われます。

年内に景気が後退に転じるとすれば、可能性が一番高いのは急激な円高でしょう。しかし、これも「ブッシュ大統領はイラクで協力してくれた小泉首相に対して円高誘導で困らせるようなことはしないだろう」と考えれば、日本政府が徹底した介入で円高を防いで景気を守ると考えてよいように思います。

景気が回復を続け、しかも底割れの可能性が小さくなっていくとすると、株価にはプラスの力が働くでしょう。現在の企業収益と金利を考えると、現在の株価は明らかに割安ですから、市場が景気の底堅さを認識するにつれて、株価は上昇していくでしょう。水準のイメージは持ちにくいですが、たとえば年内に15000円くらいはつけても不思議はないように思いますが、いかがでしょうか。

以上です。景気の予測に関しての詳しい記載については、拙稿を御覧ください。





以 上

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