2004年02月02日

塚崎 公義
日米逆転?


 米国の経済が日本の経済よりも好調だということは、広く信じられています。しかし、注目されていませんが、日本の方が好調だという統計も多数あります。

 昨年10‐12月期の鉱工業生産の前年同期比は、日本がプラス4.5%、米国がプラス1.6%となっています。設備投資先行指標の前年比を見ても、日本(機械受注の船舶電力を除く民需、12月分が未発表なので9‐11月分)が11.3%、米国(航空機を除く非国防資本財受注、10‐12月分)が9.9%となっています。また、12月の失業率を前年同月と比べると、日本が0.4%の改善、米国が0.3%の改善となっています。

 昨年1年間の株価上昇率は、日本の方が高いわけではありませんが、日経平均が24.5%、NYダウが25.3%とほとんど等しくなっています。また、デフレだと言われた日本も消費者物価が下げ止まり、12月分(生鮮食品を除く季節調整値)は半年前に比べて横ばいとなっています(医療費値上がりの影響を排除するために半年前比を用いました)。一方で米国は消費者物価上昇率が低下を続けており、12月分(食料とエネルギーを除く季節調整値)は半年前にくらべて0.6%の上昇にとどまっています。

 このように、主要な統計の中にも日本の方がよいもの、日本と米国にそれほど差がないものがたくさんあるわけです。しかも、昨年の米国には強い追い風(減税)が、日本には向かい風(夏のはじめが涼しく秋と冬のはじめが暖かいこと)が吹いていたことを考えると、日本と米国の実力ベースの景気の強さはそれほど違わないと言えるかもしれません。

 日本は景気が回復するとともにデフレから脱却し、不良債権問題も峠を越し、上向きの材料が揃っています。緊縮財政が景気を冷やすリスクもとりあえずないでしょう。中国が高成長を続ければ、その恩恵をもっとも受けるのは日本でしょう。こうしてみると、日本経済の回復が加速する可能性は決して小さくありません。日本の景気が腰折れする可能性としては、急激な円高の進行が考えられますが、その可能性も大きくないと考えています。

 どうも日本人には、長期不況のあいだに「日本経済が好調なはずがない」という思い込みが摺り込まれてしまっているようで、こうした現実を直視しないための言い訳を考える人が多いように思います。「輸出頼みの回復なので、真の好調とは言えない」と言われるとそんな気もしますが、よく考えれば好調には違いないわけで、しかも年内は対米、対中輸出ともに高水準を維持する可能性が高いわけですから、日本経済も年内は好調が続くということでしょう。

 「設備投資はIT関連だけが好調であるが、広がりが見られない」と言われれば、やはりそんなものかと思いますが、よく考えれば、広がりがなければいけないという理屈はありません。米国のITバブルは「最終需要が増えないなかで各社が生産効率化のためのIT機器導入に奔走した」ものであったために持続性に欠けていましたが、日本のITブームは需要の増加に裏付けられており、「世界中の家電がデジタル家電に入れ替わるまで続く」かもしれないわけです。世界のなかでデジタル家電に関しては日本が圧倒的に優位であることを考えれば、少なくとも当面は日本のITブームが持続すると考えてよいでしょう。

 さすがに今年の成長率については、日本が米国を上回る可能性は小さいと思いますが、あり得ないとは言えません。来年に関しては、日本が(景気が後退に向かう理由が見当たらないので)好調を続けると思われる一方で、米国は、大統領選挙が終われば政策的な景気刺激策が採られなくなって景気がピークアウトする可能性も大きいでしょうから、日米成長率が逆転する可能性は、決して小さくないでしょう。

 そうだとすれば、景気の先を読むといわれる株価については、今年の日本株の上昇率が米国株の上昇率を上回る可能性は小さくないでしょう。特に、米国の好調が株価に織り込み済みである一方で、日本の好調は未だ織り込みきれていないことを考えると、その可能性は相当大きいと言うべきかもしれません。先月、今年の株価は15000円までありうると書きましたが、今でも今年の高値は15000円ではないかと考えている次第です。

 





以 上

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