2004年04月07日

塚崎 公義
日本経済の復活


 マクロ経済の景況感が急速に改善しつつあります。今次局面においては、順調に回復している部分と回復が遅れている部分の格差が大きいため、ミクロのベースでは回復が実感できていない人も多いようですが、マスコミの報道を見ても株価の動きを見ても、景気に対する見方があきらかに変化しつつあるようです。年初に「年内に15000円くらいはつけても不思議はないように思いますが、いかがでしょうか」と書きましたが、景気の動きを見ても株価の動きをみても、そうした可能性が少しずつ高まりつつあるように思われます。

 これまでの景気回復は、病み上がりの病人のような弱々しさがありましたが、ここに来て景気の足腰がしっかりしてきた感じがあります。たとえば、多少の円高でも景気が腰折れしないと人々が判断するようになったのは、大きな変化だと言えるでしょう。また、デジタル家電と輸出の好調だけが景気を牽引していたイメージも薄れつつあり、消費総合指数が増加基調に転じるなど、国内民間需要の回復に広がりが見られ始めています。

 景気が腰折れするリスクも緩和されつつあります。金融システム不安は大幅に後退していますし、「日本経済の外科手術」としての小泉改革も、「改革が急加速して景気の腰を折る」といった可能性は後退しています。

 景気が循環的に回復するのはバブルが崩壊した後で3回目ですが、前の2回と比べると、今回の方がマスコミや識者の論調が明るいように思われます。銀行の不良債権、企業の抱える設備、人員、借金の過剰、地価の下落といった「バブルの後遺症」が和らいでいることが背景にあるのでしょう。今ひとつの大きな違いは、「日本方式を米国方式に変えない限り経済はよくならない」「構造問題を抱えているので景気がよくなるはずがない」といった極端な悲観論が聞かれなくなったことです。

 バブル期には日本が尊大になり過ぎ、バブル崩壊後は卑屈になり過ぎたという大きな振り子が中庸に向けて戻りつつあるのだとすれば、これは大変望ましいことです。第一の要因は、日本の景気が回復してきた中で、「モノ作りといったハード面では日本の技術力と競争力が健在である」、「高収益企業の中にも日本的経営を基本に据えている所が多い」、といった日本のプラス面が再認識されたことでしょう。今ひとつの要因は、米国でITバブルが崩壊し、エンロン事件が発生したことなどから、米国信仰が薄れてきたことでしょう。

 もちろん、日本経済に懸念材料がないわけではありません。短期的には、急激な円高、中国のバブル崩壊的な景気の急減速、などが懸念されます。しかし、これによって景気が腰折れする可能性は比較的小さいと思われます。景気の腰を折るような円高に対しては政府が徹底的な介入を行うでしょうし、米国もこれには反対しないでしょう。また、中国は日本の高度成長期のように経済が若く、需要が非常に強いため、仮に一時的な後退があっても短期間で回復すると思われます。

 長期的な懸念材料としては、少子高齢化、財政赤字といった困難な問題が立ちはだかっています。しかし、「長期的な問題があるから中期的な景気拡大が難しい」ということもないでしょう。たとえば米国では、「経常収支赤字は永続可能な水準を越えている」と以前から言われ続けていますが、これが景気の拡大を妨げているとは言えないからです。

 そうだとすると、中期的にみた日本経済には、世の中で言われているよりも明るい展望が持てるように思います。今度こそ大型景気が到来し、日本経済が失われた10年から訣別できると期待しているのですが、いかがでしょうか。

 





以 上

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