2015年12月01日

久留米大学商学部教授
塚崎 公義

 

講演の概要


 

 ある方から、「講演を御願いするとして、どのような講演が可能ですか?」という有難い問い合わせをいただきました。
 「私としては、次の3つが可能です」とお答えしました。今回は、それぞれについての講演の概要および配布資料例を御紹介します。

 

(1)日本経済はどうなるのか −来年は?20年後は?
 1.1年後の日本の景気はどうなるのか?そもそも、これまでの景気はどうなって来たのかを考え、今後の景気に影響しそうな要因を洗い出し、1年後の景気がどうなりそうか、予想します。
 2.20年後の日本経済は大丈夫か?少子高齢化の影響は?財政や年金は破綻しないのか?悲観論を唱える人が多いですが、少子高齢化のプラス面にも着目して冷静に考えてみましょう。

(2)資産運用で気をつけること −儲けるより損を避ける守りの運用
 (あるいは「老後資金の運用」でサラリーマンの老後資金に特化)
 1.現金や銀行預金は、インフレで目減りするリスクがあります。株や外貨には値下がりのリスクがあります。これらのリスクを上手にコントロールするためには、分散投資が重要です。
 2.株や外貨は、短期的な価格予想が困難なので、短期売買は避けましょう。時間分散投資で長期に保有すれば、インフレリスクのヘッジになります。
 3.相手の立場で物を考えましょう。販売員が客の利益より自分のノルマ達成を優先する可能性を考えると、自分で納得して決めることが重要です。

(3)人はなぜ間違えた選択をするのか −目から鱗の経済談義
 1.買った本がつまらなくても、買った代金が惜しいからと最後まで読むのは愚かです。代金と読む時間を失うだけで、買った代金は戻って来ません。人は、自分がバカな事をしたという反省を恐れて、より大きな失敗をするのです。設備が半分完成した所で大不況が来て設備が不要になった場合は??
 2.授業中に学生の一人が「寒いから暖房をつけて下さい」と言ったら暖房を付けますか?付けた途端、残り全員が「暑い」と言うかも知れません。黙っている人が何を考えているかを考えずに声を出す人の話だけを聞くのは危険なのです。

日本経済はどうなるのか

来年は?20年後は?

 (概要)
@1年後の日本の景気はどうなるのか?そもそも、これまでの景気はどうなって来たのかを考え、今後の景気に影響しそうな要因を洗い出し、1年後の景気がどうなりそうか、予想します。
A20年後の日本経済は大丈夫か?少子高齢化の影響は?財政や年金は破綻しないのか?悲観論を唱える人が多いですが、少子高齢化のプラス面にも着目して冷静に考えてみましょう。

(内容例)
◎ 昨今の景気動向は、従来の常識で説明しにくい事象が多数

〇 アベノミクスで景気は回復中
 ・金融緩和の偽薬効果で株とドルが値上がり
 ・公共投資も、初期には効果あり
 ・成長戦略は景気には直結せず

〇 円安でも輸出入数量は変化せず
 ・海外への工場進出、内外の生産品目の棲み分け等が影響か
 ・外国人観光客の増加は景気回復に貢献

〇 成長しなくても企業収益と雇用情勢は絶好調
 ・企業収益は史上最高益、有効求人倍率もバブル期以来の高さ
 ・失業率は「雇用のミスマッチ」拡大により、現状が下限

〇 富裕層と失業者に恩恵大、一般庶民への恩恵は小
 ・バブル期以降の日本企業は、収益回復でも賃上げをしない体質に
 ・ただし、表面的な賃金統計よりは庶民の生活は改善している筈

〇 インフレ率は高まらず
 ・サービス料金は、人々のインフレ予想よりも賃金の影響が大だから

◎ 来年の景気を占うのは輸出と設備投資と賃金
〇 輸出は長いタイムラグを経て増加に転じるか?
 ・欧州、中国の景気に加え、円安の定着を企業が信じるか否かが鍵
 ・輸入は既に減少しはじめており、この傾向が続く公算

〇 設備投資は徐々に増加する見込み
 ・能力増強投資は、日本経済の将来性を企業が信じるか否かが鍵
 ・労働力不足に伴い、省力化投資、合理化投資は増加へ

〇 賃金も緩やかには上昇
 ・労働力不足は主に非正規の待遇を改善
 ・正規社員の所得も賞与を中心として徐々に改善へ
 ・表面的な平均賃金の上昇率は引き続き低いであろうが・・・

〇 最大の朗報は、悲観材料が見当たらないこと
 ・景気は、何もなければ自分では方向を変えない・・・回復を続けるはず
 ・中国経済は、底打ちを示唆する統計が増え始めている模様

◎ 20年後の日本経済は、人々が考えているほど悪くない公算
〇 20年後の日本経済は、慢性的な労働力不足
 ・失業問題に悩まない経済。ワーキングプア問題も解消
 ・高齢者も子育て中の女性もイキイキと働ける時代
 ・企業は合理化、省力化投資に注力し、日本経済の生産性は向上

〇 財政破綻は回避可能な見込み
 ・最後は日銀が札を刷れば良いので、文字通りの破綻はあり得ず
 ・労働力不足時代には、失業よりインフレが問題なので、増税で景気を抑制
 ・財政赤字は世代内不公平の問題で、世代間不公平の問題にあらず

以上

資産運用で気をつけること

儲けるより損を避ける守りの運用

(概要)
 @現金や銀行預金は、インフレで目減りするリスクがあります。株や外貨には値下がりのリスクがあります。これらのリスクを上手にコントロールするためには、分散投資が重要です。
 A株や外貨は、短期的な価格予想が困難なので、短期売買は避けましょう。時間分散投資で長期に保有すれば、インフレリスクのヘッジになります。
 B相手の立場で物を考えましょう。販売員が客の利益より自分のノルマ達成を優先する可能性を考えると、自分で納得して決めることが重要です。

 (内容例)
◎ 現金、預金にもリスクあり・・・インフレ時代には目減りリスク大
 ・人手不足でインフレの可能性は大。災害、国債暴落でもインフレに
 ・買うもリスク、買わざるもリスク

〇 資産運用の第一歩は「虎穴に入らずんば虎子を得ず」
 ・「虎穴に入らば虎子を得る」とは限らず・・リスクとリターンの関係が重要

〇 詐欺や金融機関の「アドバイス」に要注意
 ・相手の立場で考える。この人は何故、私に親切なのか?御人好しだから??

〇 リスクを抑えながら、「ある程度のリターン」を確保する工夫が重要
 ・リスクに怯えるのではなく、見極め、回避し、最悪ケースの損失を抑制
 ・リスク抑制の基本は分散投資。銘柄分散と時間分散の両方が重要

〇 インフレに強い資産(株、ドル等)を持つ
 ・株とドルは、長期保有すればインフレに強い資産
 ・株とドルの短期売買はバクチ。短期的な価格変化は追わない
 ・時間分散が基本だが、割安で買って割高で売る選択肢は要検討
 ・株の割高割安はPERとPBR、ドルの割高割安はPPPを参考に

〇 初心者の株式投資は投資信託とETFが基本
 ・銘柄分散が容易。金額がまとまれば低手数料のETFを選択

 〇 外貨はドルMMFと外国株投信
 ・米国債は、低金利を固定化するので今は避ける
 ・高金利通貨は危険。プロが買わないから高金利商品が素人に廻って来る!

〇 貸家、FX、商品先物などには近づかない
 ・貸家は、人口減少社会では空家リスクが大
 ・FX、商品先物は「丁半バクチ」に類似

〇 プロを活用する「分業」は合理的
 ・タダほど高いものは無いので、料金を支払って情報を得る

◎ 老後資金の運用に際しての最大リスクは「長生きとインフレ」
〇 最も頼りになるのは公的年金。長生きにもインフレにも対応
 ・未納分の後納に加え、受取開始を70歳まで待って年金額を42%増に
 ・年金を信じないならば、60歳から受け取って全額をドルに

〇 元気な間は働き、生活も見直して家計の収支を改善
 ・運用で500万円稼ぐより、同額を家計収支改善で捻出する方が確実
 ・生命保険は「自分が死んだら路頭に迷う人がいる」場合にのみ必用
 ・火災保険、自動車保険なども、都心への引っ越しを考えるなら不要かも

〇 借金を返済するか返済せずに運用するかは、金利次第
 ・1.5%以下なら、返済せずに時間分散で株式、ドル投資という選択肢も

〇 サラリーマンの老後資金は2000万円必用。自営業者は長く働く必用
 ・サラリーマン夫婦の年金は22万円程度、自営業主夫婦は13万円程度

〇 自宅は保有、貸家は持たず
 ・借家住まいは「長生きとインフレのリスク」に脆弱

以上

人はなぜ間違えた選択をするのか

目から鱗の経済談義

 (概要)
 @買った本がつまらなくても、買った代金が惜しいからと最後まで読むのは愚かです。代金と読む時間を失うだけで、買った代金は戻って来ません。人は、自分がバカな事をしたという反省を恐れて、より大きな失敗をするのです。設備が半分完成した所で大不況が来て設備が不要になった場合は??
 A授業中に学生の一人が「寒いから暖房をつけて下さい」と言ったら暖房を付けますか?付けた途端、残り全員が「暑い」と言うかも知れません。黙っている人が何を考えているかを考えずに声を出す人の話だけを聞くのは危険なのです。

(内容例)
〇 払った金は戻らないから、すぐに忘れて現段階のベストな選択をする
 ・買った本がつまらなかったら、読まない
 ・工場が半分建った所で大不況が来たら、躊躇なく工事を中止する
 ・自分(又は上司)がバカだと思いたくないから続行して傷が拡大???

〇 黙っている人が何を考えているのかを考える
 ・不満のある人は声を出すが、満足している人は黙っている
 ・円高でも円安でも「困った」という声だけが聞こえてくる
 ・マスコミに出ている人は素晴らしい人?視聴率の稼げる人?
 ・成功した起業家の話を聞いたら、失敗して破産した人の事も考える

〇 「何をするか」は「何をしないか」の選択
 ・学園祭の模擬店で3000円黒字でも、バイトしていれば更に稼げたはず
 ・エリートを集めた部署が少額の黒字なら、解散してエリートを他部署へ
 ・今から始めるとしたら、この選択肢を選ぶか?
 ・有能な社員が各駅で出張すると商売を失うから特急で。時給とは無関係

〇 表現方法で騙されない
 ・「100円です」と「200円ですが今日は半額バーゲンです」
 ・「10個買って下さい」なら2個買うが、「2個買って下さい」なら1個?

〇 「正しい事」が良い結果をもたらすとは限らない
 ・「ビル内全面禁煙」なら、ビルの出入り口での喫煙が増加
 ・交渉は妥協が重要。筋が通らない事でも、相手が納得するなら選択肢

〇 買わなかった客に聞く・・・買わなかった客は苦情を言わない
 ・壊れたとの苦情に対応して頑丈にすると、デザインが悪くなるかも

〇 客観的な証拠に頼り過ぎない(上司が部下に証拠を問い詰めない)
 ・バブル期に、過去のデータで格付された債券を購入?
 ・「社交的な性格」より「学歴」が優先される理由は担当者の保身かも

〇 相手の立場に立って考えると騙されない
 ・親切な販売員は、御人好し?売りたい商品を推奨?詐欺師?
 ・孤独老人に親切にする詐欺師等が多いので、老親には時々連絡すべし

〇 スーパーマンでも凡人と分業すべし
 ・凡人を「まだマシ」な仕事に専念させれば、二人合計の成果が向上

(政策編)
〇 情けは皆のためならず
・放漫経営をして傾いた企業を助けると、他企業も放漫経営をしかねない
 ・最低賃金は労働者の、農産物関税は消費者の利益を害する可能性

〇 皆が頑張ると皆が悪い結果が生じ得るので、それを防ぐ政策が必用
 ・火事の時に非常口に殺到すると・・・
 ・皆が金持ちを目指して倹約すると、物が売れずに不況になり、皆が貧しく

〇 大数の法則が使えない事態を想定して対策を立案
 ・銀行が取付なら日銀特融、津波警報なら「避難は徒歩で」

〇 皆が栄える(衰退する)と思っている街は栄える(衰退する)
 ・理論的に間違っていても、皆が信じた事が実現する可能性あり

以上

 




 


以 上

本稿は筆者個人の見解であり、筆者の属する組織などの見解を示すものではありません。
また、読者に投資などを勧誘するものでもありません。
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